スーツの裏地によく使用される”ジャガード織り”、みなさまも一度ならずとも何度も聞いたことがある言葉ではないでしょうか。*なお、語源は下記の歴史でも書いてある通り、ジャカールさんから来ておりますので、正しくは”ジャカート”なのですが、日本語で発音しやすいため濁点で呼ばれていることのほうが多く、本投稿も”ジャガード”にて記載しております。

今回はそんなジャガード織りの歴史から、メリット・デメリット、そして当社ヤマモトが長年取り扱っている、シルク産地で有名な富士吉田の甲州織ジャガード裏地の紹介、を書いていきたいと思います。

TAILORS WORLD 編集部の山本佑です 。

ジャガード織りの歴史

ジャガード織機は19世紀にフランス人のジョセフ・ジャカールさんが開発しました。
それまで複雑な織物は織り手の他にもう一人糸を引く「引き手」が必要でしたが、このジョセフさんの発明により1人でも織ることが可能となりました。
幾何学模様から写実的な模様まで作ることが出来るのでテキスタイル・デザインの革命的存在になりました。

ジャガードの織り方

ジャガード織機では紙に穴を空けた「紋紙」を使って模様を織ります。
デザインに沿って紋紙を作成し、その情報に従って整経・染色した糸を使って織って行きます。
ジャガード織りの要となる紋紙には穴の空いている所と空いていないところがあります。
織機が紋紙の穴の情報を読み取り、穴の空いている部分に経糸を引き上げます。この糸の上下運動によって立体感のある柄が織り上げられて行きます。

Summallyより引用_紋紙画像

ジャガードのメリット・デメリット

ジャガード織りの生地は同等の太さの経糸と緯糸を不規則になっているので、複雑な柄も再現する事が出来ます。
また先染めの糸を使用する事が多いので柄に立体感が生まれ、色落ちしにくいというメリットもあります。
一方で先染め糸で繊細な織りの為、織り上げるのに時間がかかり、その分コストがかかってしまいます。
ただプリントには無い柄の奥行きや高級感があるので、そういったジャガード織りの生産背景なども知って頂き選んで頂ければと思います。

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甲州織とは

山梨県富士吉田市を中心とする郡内エリアで織られる織物であり、ジャカード織機にて紡がれます。低速織機ですのでたゆみのない美しい布地が織り上がります。低速な織機で織り上げますので、1日に1反(30~50m前後)程度しか生産出来ません。近年ではレピア織機という生地を高速で織る事が出来る織機もありますが、非常に高価な為、導入されている機屋さんは僅かです。

タテ糸には異型断面糸(ポリエステル)を使用している為、他のポリエステル繊維と比べて風合い、光沢は別格です。

昔から甲州織の裏地はフルオーダースーツの高級裏地として重用されていました。手裁断の為、裁ち台のスペースに限りがあるので、生地幅が75cmになったことも、甲州織の特徴です。

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こちらも甲州織の人気品番、「3100」

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回はジャガード織りについて深掘りしてみました。歴史や製作工程などがわかると一段と面白くなるのではないでしょうか。

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