イタリアの資材と聞くと高級感を覚える方も多いのではないでしょうか。イメージ的にイタリア=高級と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、実はその背景にはイタリアの服飾史が大きく関わっています。
今回はそんなイタリアの歴史を振り返り、イタリア資材にフォーカスします。

TAILORS WORLD 編集部の山本佑です 。

ヨーロッパにおける工場としてのイタリア

イタリアは19世紀中頃まで都市国家の集まりであり、イタリアという国は存在していませんでした。
国力が乏しく産業革命も20世紀に入ってからと遅かったので、ヨーロッパの中でも後進国であり文明的には先進国であるフランスやイギリスに遅れをとっていました。
その反面、イギリスでは18世紀半ばから産業革命が進み、服装へも効率化が図られました。
今までの貴族が着ていた装飾過多の服装から動きやすく軍服由来のスーツ等が多く着られるようになりました。
また、一般庶民でも富を持つ者が出て来たため、スーツの需要は爆発的に伸びていきました。
しかし、当時のスーツはオーダーメイド且つ手作業で作られていたため需要に対して職人の数が少なく需要過多になっていました。

Group of men wearing Victorian fashion in Paris, France. Vintage etching circa late 19th century.

そこで目を付けたのがイタリアです。
イタリアはルネサンスを代表とする美術文化を花開かせた芸術家が多いように、手先が器用な職人が多いので手工業が盛んでした。
また、イギリスに比べて賃金も安かったので長年イギリスの工場として活躍してきた背景があるのです。
その影響か、イタリア人のイギリスに対する憧れはかなりのものだと聞いたことがあります。
まるでバブル以降の日本と中国の関係のようですね。
それを裏付けるように中国でも数多くの附属メーカーが誕生しており、以前に比べると品質も良くなっているようです。

このようにどうせ附属を作るなら輸送の観点から工場の近くが良い、という理由で附属工場も増え始め、20世紀初頭のイタリア産業革命以降爆発的に多くなっていったのです。

工場からファッション大国へ

イタリアが現在のようにイギリス・フランスと並ぶファッション大国へなったのは第二次世界大戦終結後になります。
戦後復興を終え、華やかな芸術文化と職人技(アルティジャーノ)が融合し独自のファッションを生み出していきます。
特に1970年代の3G(アルマーニ・ヴェルサーチ・ジャンフランコフィレ)の出現によりイタリアンファッションが世界的に注目されていきました。
その反面、大量生産の工場はルーマニア・ポルトガル等、より賃金の安い国へ移っていきました。
そこで、イタリアの工場は量より質へと舵を切ることとなります。
附属においても同様の経緯が見られ高級ブランドの服に使用されても遜色無いような附属の生産が行われていきました。

ジャンフランコ・フェレ氏
Image Credit:unaDONNA、LATITUDES Life
ジョルジオ・アルマーニ氏
Image Credit:Celeb Extra
ジャンニ・ヴェルサーチ氏
Image Credit:ELLE girl

イタリアの資材の紹介

ボタンメーカー「UBIC(ウビック)」

当社ヤマモトは、45年以上前からイタリアのボタンメーカー「UBIC(ウビック)」と取り組みをしており、現在はコロナの影響でなかなか行き来は出来ていないですが、コロナ禍前は、毎年新作のボタンを持って、来日してくれていました。ようやくコロナも世界的に落ち着きを見せ始めているので、またお会いできることを楽しみにしております。
そんなUBIC(ウビック)のボタンは、確かな技術力とイタリアらしい色使い(染色)により、欧州と米国の有名紳士・婦人ブランドに数多くのファンを持っています。

UBICボタンのほんの一部です。

Lampo Zipper(ランポ ジッパー)

「世界一美しいファスナー」という異名を持つ高級ファスナーメーカーです。
最高級ラインである「SUPER LAMPO」はシャネルを始め、多くのブランドで使用されています。

テーラーでは、スーツに使用するというよりは、ライダースジャケットなどを展開されているところでお使いいただいたなどの実績がございます。

GAFFORELLI(ガッフォレッリ)

40年以上メゾンブランドへアクセサリーパーツを提供しているメーカーです。
自社デザインのボタンやフックは日本にはない美しいデザインを揃えています。
また、オーダーメイドも柔軟に行っておりディオールへ資材提供を行ったこともあります。

まとめ

以上のようにイタリアの服飾業界史は周辺諸国と深く関係していました。
昔はイギリス・フランスの下請けだったイタリアの服飾業界ですが、中世から受け継ぐデザインと熟練の縫製技術でファッション大国へのし上がってきました。
現在では世界三大ファッションの一つとなり、高級ブランド御用達の縫製工場をいくつも持っています。
国土が小さく資源の少ないイタリアにとって、重要な経済資源になっていることは間違いありません。
コロナで大きな打撃を受けたイタリアですが現在ではたくましく復活しているところです。

また、上記内容についてのご注文やお問い合わせ、そのほか附属や縫製サービスのお問い合わせはこちらまでお願い致します。