今回はタイトルにもございますように、主にメンズのジャケットを作り上げる上で、非常に重要な附属(資材)である”毛芯”について書きたいと思います。

TAILORS WORLD編集部の山本佑です。

衣料用芯地について

衣服用芯地の機能

・成形性、保形性
芯地の持つ張り、コシで洋服を美しく形作り、その形をいつまでも美しく保つ性能

・可縫製性
洋服を縫製し易くし、美しく仕上げる性能

この2点を良くするために、芯地を使います。実際生地だけで服を作ってもだらんと下がってしまったりして、型が崩れてしまいます。また、縫いづらい生地も信じとともに縫うことにより、縫製しやすくなります。

衣服用芯地の種類

芯地には多く種類がありますが、まずは下記の2つに分けられます。

・フラシ芯
表生地に縫い合わされて使用される芯地で毛芯地、シャツ芯等に分類される。
→毛芯地:主に紳士服のスーツ、ジャケットの前身頃に使用される。
→シャツ芯:ドレスシャツの衿、カフス、前立て等に使用される。

・接着芯地
プレス機、アイロン等の熱で表生地接着する芯地で、紳士服、婦人服、ユニフォーム等で広く使用されています。

毛芯地について

毛芯地の使用例

加工芯は「台芯」、「胸増し芯」、「肩増し芯」に分類されます。

【台芯】加工芯全体の土台となる物で、重さ、張り、コシにより決定されます。

【胸増し芯】胸の部分の補強の為に、台芯より張りの強い物が使用されます。

【肩増し芯】肩の部分を更に補強する為に、台芯・胸増し芯にプラスされる物で、胸増し芯より更に張りの強い物が使用されます。

毛芯地の規格

毛芯地は主に紳士服のスーツ・ジャケットの成形性、保形性を高める為に使用されます。
身体を包み込むスーツ等の場合、人体は円柱形であり、経方向には重力が働き変形は少ないですが、緯方向は変形が大きいです。

これを補強する為に、毛芯地は緯方向に張りのある設計にします。

加工毛芯(造り毛芯)の部位名称

・台芯 : 本体等

・胸増芯 : 胸バス芯、抱き芯等

・肩増芯 : 肩バス芯、肩芯等

・補強芯 : 当て布、返り芯、袖ぐり芯等

毛芯地の製造工程

原料

人体は円柱形で経方向は重力が働きますが、緯方向は芯地の張りコシで成形、保形します。
緯糸の張りコシを得る為に、繊度の粗い獣毛繊維を使用します。

代表的な獣毛繊維の種類と物性

・ゴートヘアー:ギリシャ北部、マケドニア地方の高原で飼育され、毛は粗く長く、ハリ・コシに優れます。

・ヤクヘアー:中国内陸部に生息し、毛は粗く、こちらもハリ・コシに優れます。

・キャメルヘアー:中央アジア砂漠地帯に生息する双峰駱駝(ふたこぶらくだ)

・グレーウール:ウールの中で繊度の粗い原毛で、ヘアーとウールの中間的性質です。

紡績_緯糸

原料:獣毛(ゴート・キャメル・カラクル)、レーヨン、ウール、合繊

トップメーキング:繊維をほぐし、引き揃え、スライバーとする。

前紡: 繊維の混合、併合、引き伸ばしを繰り返し、篠の太さを均整にする。

精紡:篠を引き伸ばし、撚りを与え、巻取り管糸とする。

ワインダー:糸欠点を除去し、数本の管糸を1つにまとめてチーズにする。

織布

革新織機による高品質な生機づくり

整経:経糸を引き揃えて、ビームに所定の長さと巾を定めて巻き取る。
製織:規格に合わせて織機で織り、生地(生機)を作る。

整理加工

  1. 毛焼:表面に出ている毛羽(獣毛)をバーナーで除去する。
    *チクチクする場合は毛焼が甘いそうです。
  2. 煮絨(しゃじゅう):湯洗いで表面を平滑にし、不純物を除去する。
  3. 染色:ほぼ黒染めで生成りは染めていない物です。
  4. 乾燥(熱風乾燥)
  5. パディング:加工薬剤の付与(防縮、風合調整)
  6. ベーキング:薬剤の架橋反応の推進
  7. 検査:(人が目視で)欠点をマーキング、除去し包装する
    *このように人が目視で最終検品をするのですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は毛芯地について種類や製造過程を書かさせていただきました。毛芯に関してのご注文やお問い合わせ、さらに附属や縫製サービスのお問い合わせはこちらまでお願い致します。