スーツのジャケットを形成する上で非常に大切な附属である「毛芯」。今回はその毛芯の”素材”にフォーカスして深堀りしたいと思います。*ここでお伝えする毛芯とは、造り毛芯のことではなく、生地としての毛芯を指しております。

TAILOR WORLD編集部の久です。

原材料産地

まず産地ですが、綿及びポリエステルは中国のものが多く、毛はオーストラリア、ニュージーランド、WH(ウールヘアー)や獣毛(山羊毛、ラクダ毛等)はヨーロッパ経由のものが多く、それを日本で加工しますので、原産地は”日本”という表示になります。

梳毛・紡毛

梳毛毛芯: 長さ、太さが一定の繊維を平行に伸ばし、光沢のあるなめらかな糸で作られた毛芯。太くて張りがあるため毛芯に向いている。

紡毛毛芯: 表面の手触りが粗く、短い繊維で一般的に人髪(ジンパツ)とレーヨン等の混紡糸である。張りはあまりなく下級毛芯に値する。ユキワタ芯、肩パット芯、帽子芯等に使用される。

整理加工タイプ

両面毛焼

片面毛焼

毛焼無し

毛焼きとは、表面に出ている毛羽(獣毛)をバーナーで除去する。
*チクチクする場合は毛焼が甘いそうです。

工程

  1. 生機
  2. 毛焼: 不規則な毛羽の除去
  3. 水洗い: 不純物除去
  4. 煮絨(ニジュウ): 形態固定、ツヤ出し
  5. 乾燥
  6. 樹皮加工: 防縮、防シワ、防腐、防カビ
  7. ベーキング: 熱処理
  8. リーピング: 還元剤で油、汚れ取り
  9. 蒸絨: 蒸気を通して防縮、防シワ
  10. 検反
  11. 包装

毛芯紹介

毛芯の材料は、上記でお伝えしたように毛、綿、ポリエステル、レーヨン、ウールヘア等で作られますが、タテ糸、ヨコ糸ウール100%のものが最高のものとされています。
下記に、上記の最高級品とともに、様々な毛芯を紹介します。貴店のものづくりの参考になれば幸いです。
なお、下記に表記されている「打込」とは、1インチあたりの打ち込み本数を指しています、

41HE

41HE

・素材
タテ: ウール100%
ヨコ: ウールヘアー100%

・番手
タテ: 2/40
ヨコ: 1/15

・打込
タテ: 40本
ヨコ: 42本

68W

68W

・素材
タテ: ウール100%
ヨコ: 毛100%

・番手
タテ: 2/36
ヨコ: 1/10

・打込
タテ: 40本
ヨコ: 37本

562

562

・素材
タテ: ウール100% X 綿100%
ヨコ: ウール100%

・番手
タテ: 1/36 X 30/1 (ウールX綿)
ヨコ: 1/18

・打込
タテ: 41本
ヨコ: 45本

1番上で紹介した「41HE」は、タテ糸は40番手の糸の2本撚り(双糸)となり、ヨコ糸は15番手の1本糸という意味になります。
また、ヨコ糸が太番手なのは、横張りを出すためです。そのため、夏物用の台芯には41HEや562がおすすめ、合冬物用には、68Wをおすすめしています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

次回は、造り毛芯について記事を書きたいと思いますので、楽しみにしてください。

また、上記商品についてのご注文やお問い合わせ、そのほか附属や縫製サービスのお問い合わせはこちらまでお願い致します。