TAILORS WORLD編集部の地代です。

本日のお題はタキシードについてです。今では夜の正礼装として最もポピュラーなタキシードですが、その歴史をたどってみたいと思います。

タキシードが誕生する以前は夜のフォーマルウェアといえば燕尾服が一般的でした。

タキシードは燕尾服を原型とし、燕尾服の裾を切り落として前身頃のシャープなカットをなくし、ジャケットのように仕立てた物がタキシードとして誕生したと言われております。

そんなタキシードですが、実はタキシードの起源には2つの説があります。

【英国起源説】

1800年代の後半頃英国で誕生したとされるタキシードは、燕尾服の裾をカットして、前身頃の裾のラインをジャケットのように緩やかにしたものでした。

当時はスモーキングジャケットと呼ばれ、英国紳士が部屋の中でタバコを吸いながらくつろぐ際に着用されていました。

当時の皇太子エドワード7世がイギリス南部の高級リゾート地のカウズでディナーの際の衣装として着用したのがきっかけで、堅苦しい燕尾服にかわる夜のフォーマルウェアとして流行したのが起源だという説です。

スモーキングジャケットは高級リゾート地のカウズの名にちなみ別名「カウズジャケット」とも呼ばれていたそうです。

【アメリカ起源説】

真っ赤な乗馬服を着るピエール・ロリラード

アメリカのニューヨーク州にある「タキシードパーク」という村で1800年代後半にアメリカのタバコ王と呼ばれたピエール・ロリラード4世が主催する上流階級のパーティー「タキシード・クラブ」が開催されました。

その際、タバコ王の息子であるグリズウォールド・ロリラードが、当時イギリスでキツネ狩りの衣装として人気が高かった真っ赤な乗馬服を真似て燕尾なしの上着を作り、黒の側章付きパンツをコーディネートした姿で現れたそうです。この斬新な装いが人々の話題となり、1890年代にニューヨークで大流行したのがタキシードの起源、という説です。

どちらの説が正しいのかは不明ですが、どちらにせよタキシードは1800年代後半に誕生したのは間違いなさそうです。

個人的にはタキシードのスタイルは英国誕生説が現実的かと考え、名前としての由来は「タキシードパーク」という地名とも一致する部分があるアメリカ説が有力のような気がします。 はたして真相は? 

いずれにしてもどちらも起源説として興味深い話だと思いませんか?