こんにちは。TAILORS WORLD地代です。今回は日本のフォーマル文化に根付いている略礼服の誕生について少し調べてみました。

結婚式などの日本のフォーマルシーンで大活躍の略礼服ですが、考案者は誰なのか気になって調べてみました。

始まりは文明開化

日本では、1853年の黒船来航をきっかけに、明治維新ごろ(明治維新は1868年~1889年)から徐々に西欧の文化が流入しはじめ(文明開化)、その頃民間の裕福な男性のフォーマルウェアはフロックコートやモーニングコート、燕尾服が一般的でした。

また軍人や高級官僚はエンパイヤスタイルの宮廷服(大礼服)を主にに着用しておりました。(大礼服)とは衿や袖、前身頃に刺繍やモールを施した派手な衣装で、階級により勲章が付いた衣装です。

必要は発明の母

敗戦直後、国民は困窮を極め、多くの種類の礼服を着る余裕など無い状況になっていました。

そんな時代に現状と未来を見据え汎用性の高い略礼服を考案した人物がおりました。

その人物はフォーマルウェアのメーカーとして長い歴史を持つ(渡喜)の3代目、現カインドウェアの、渡辺国雄さんとのことです。

当時の略礼服のデザインはダブルの上着にズボンの裾もダブルと現在のスタイルとは違いもありました。

渡辺国雄さんの後日談として(このようなスタイル礼服が、ヨーロッパのしきたりでは、到底受け入れられないとは気付かなかったし、近代日本社会の礼服の原型になるとは思わなかった。私の無知からデザインされた礼服になってしまった。)と後悔の言葉を残されていたようですが、今も尚、日本のフォーマルシーンに根付き、かかすことの出来ないアイテムとして受け継がれていることはとても素晴らしいことだと思いました。

国際的なフォーマルのルールも非常に大切なことですが、時代背景に求められる独自のフォーマル文化を生み出していくことはとても必要なことだと感じます。

※『ソシアル産業を拓く 渡辺国雄の歩んだ道』(日本繊維新聞社編集、カインドウェア発行、非売品)より参照

明治頃の大礼服が登場する漫画

最近完結した漫画のゴールデンカムイも丁度この明治時代後期あたりの漫画です。この作品では旧日本帝国陸軍の軍服(フランス式)海軍の軍服(イギリス式)が登場します。階級毎に服装が描き分けられており、メインキャラの鶴見中尉などの将校は前面に横向きの紐飾りのついたデザインの肋骨服と呼ばれる軍服(これも大礼服の一種)を着ています。かなりこだわってデザインされているそうなので、ご興味のある方はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

第一巻はこちらで2022年12月現在、無料で読めるようです。