TAILORS WORLD編集担当、小菅です。
5月28日、福島県平野にあります株式会社TexTech(旧:株式会社ジェンツ)の工場に伺いました!
普段はなかなか目にすることのできない縫製工場の現場。その様子を皆さまにご紹介いたします!


目次
株式会社TexTechとは?

1969年創業。国内の有力アパレルメーカー(百貨店、専門店)からの受注を中心に、紳士服製造を行っている老舗縫製工場です。サンクと統合し、現在はレディースも含めた既製品の生産も手がけています。
2016年2月にはIACDE(国際衣服デザイナー・エグゼクティブ協会日本支部)より、全国約60工場の中から、縫製技術・生産数量・将来性などを総合的に評価して「三ツ星認定工場」に認定された日本有数の技術力を持つファクトリーです。
ブリティッシュテイストを得意とし、総毛芯仕立ての構築的で美しいラインのスーツづくりを得意とする一方、柔らかい毛芯と片倒しの肩で、イタリアンテイストも表現可能。デザイン面の仕様変更、体型補正、サイズ対応力も非常に柔軟です。
現在の従業員数は133名。年間生産目標は、ジャケット15,000枚、パンツ17,000枚、プレタポルテ(既製品)12,000枚となっています。
現場へレッツゴー
【オールラウンドな対応力が強み!】

午前中は常務執行役員の橋本さんと、執行役員の加藤さんに案内していただきました。
入ってまず伺ったのは既製品の縫製工場です。様々なブランドさんの既製服を担当していて、ジャケットは1日に20〜30枚ほど縫製されており、コートやパンツもこなす、まさに“オールラウンダー”な職人さんたちが集まっています。培われたレディースの縫製技術が、TexTech全体の技術レベルをさらに底上げしています。

案内をしてくださった常務執行役員の橋本さんからは、「スカートの落としミシンがとても綺麗だとお客様に褒められた」というエピソードも伺いました。
お客様から信頼される一級の技術力は、既製品にも生かされていることを目の当たりにしました。
【受注から裁断まで見学!】
次に受注から接着までの工程を見学させていただきました。
受注された商品は生地と共に番号が割り振られ、効率的かつわかりやすいように管理されます。
そのあと天然素材のウールなどは縮絨の工程に入り、パターンを入力していくのですが……
ここで見た光景がまさに“職人芸”でした。
驚異的な速さと正確さでパターンを入力していく姿には、思わず息を呑みました。

入力されたパターンデータはCAM(自動裁断機)に送られますが、チェックやストライプなどの柄合わせが必要な生地の裁断は熟練の職人さんによって手裁断されています。

【✂️ここが職人の腕の見せどころ!縫製パート】
午後は技術部長の紺野さんからより詳しく縫製の工程についてご説明いただきました。
作業の大まかな流れは
襟→袖→ポケット→芯すえ→身頃→背中→ボタンホール→プレス作業→ボタンつけ→まとめとなっています。
ここでも普段は知ることのできない機械がたくさんありました!
- 4つ穴ボタンミシン
- ピンポンミシン(祭り縫い専用)
- 箱ポケット専用ミシン(直線用・カーブ用)
- 最新鋭のボタンホールミシン
- 各部位専用のプレス機


もちろん、これらを使いこなすのは職人たちの熟練の技術。
ピンポンミシンは針が2本あり、そのうち1本が鉤針状になっています。生地によっては傷ついてしまうため、繊細な判断が必要です。芯据えの前に生地へ水分を与えるための加湿ボックスの設置や、毛芯の取り付け方など、細かく指定があるのでそれぞれ職人さんたちの対応力、技術力があってこそです。
特に印象的だったのは、プレス工程の職人さんの動き。肩周りや襟などのプレスは丁寧に行う必要がありますが、一切の無駄がなく、丁寧さとスピードが共存した見事な手捌きに、ただただ圧倒されました。


【若手職人はこう育つ!技術継承と効率化の工夫】
日々大量の着数を高い技術で作り続けてきたことで信頼されてきたテックステックさんですが、この技術を守り続けるにはどのような秘密があるのか聞いてみました。
Q.ベテランの方と若手の方の技術力の差はどのように埋めていきますか(若手はどのように成長していきますか)
橋本さん:
「若手には若手にしかできないことを、ベテランにはベテランにしかできないことを任せています。」
「1着にかけられる時間はおよそ10分。前後の工程を少しずつ任せていき、“10分でできること”を着実に増やしていくことが育成の基本。」
「このやり方はトヨタ式の考え方がベース。縫製工場でも実践されています。」
1人の作業時間の効率化を最大化することで、技術力を担保することができているのだそうです。
まとめ
工場全体に流れていたのは、「いいものを、きちんと、効率よく届けたい」という真摯な空気。高い技術と、それを支える人と仕組みが融合した、非常に学びの多い見学でした。
TexTechの皆さま、貴重なお時間をありがとうございました!
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2025年4月入社の小菅です。一人前になれるように修行中です。
マヌルネコが好きです。